松浦隆男は平成元年頃に会社役員の会社に出入りするようになったが、その後の30年以上にわたって会社役員を騙し続けてきた。会社役員の会社に出入りするようになった当時、松浦はブローカー的な仕事をしていたようで、本業が何であるか不明のようだったという。さまざまな案件を持ち込んでは手数料を稼ぐというのが松浦の手口だった。しかし、持ち込まれた案件のほとんどが実体もなく、会社役員から活動資金や手数料の前取りのような名目で金銭を受領しながら、案件がとん挫してしまうという繰り返しだった。例えば、会社役員がビルを所有した平成14年には、そのビルの耐震工事が必要になったために、当時、会社役員に3000万円の債務を有していた松浦に仕事を回すことで債務返済の一部にでもなれば、という温情から会社役員はその仕事を松浦に打診したことがあったが、松浦が連れてきた業者(川原博之)は会社役員から450万円の工事代金を受け取ったにもかかわらず、耐震工事を行わなかった。それどころか、会社役員が頼んでもいない解体工事を松浦が勝手に発注して大きな問題になった。
松浦は会社役員には川原が詐欺を働いたことを詫び、事件にせず穏便にして欲しいと懇願し、川原も450万円を返済すると申し出て、借用書を作成する際に小野登美子という女性を連帯保証人にすると言って連れてきたが、その後、川原も小野も曖昧な態度を取り続けて返済しなかったために、会社役員は松浦への不審を強め、結果、川原と小野に対して訴訟を提起するに至った。しかし、川原も小野も虚偽の主張ばかりを並べ立てる無責任な対応に終始したのだ。会社役員の関係者の中には川原と松浦が工事代金を山分けしたのではないか、事件の主犯は松浦ではないかと疑いを持つ者がいたほどだった。松浦は同ビルの工事を巡っては、他にも各フロアーのパーテションを勝手に解体して、約500万円の損害を出し迷惑をかけていた。

数年前に会社役員の関係者が松浦隆男の自宅を訪ねた。会社役員の手元には松浦が直筆で書いた借用書や債務確認書が公正証書のほかに何枚も保管されている(公正証書には松浦の妻和子が連帯保証をしている記述がある)。松浦が指定した期日に返済せず、そのたびに言い訳がましく案件を口にして返済の期日を先送りにする。そして借用書や債務確認書を松浦が書いてきたものであった。耐震工事の工事代金を着服してから15年以上を経過しても、松浦が返済しなかったため、会社役員は松浦の意志を確認したうえで債権譲渡も視野に入れて決断しようと考えていた、と松浦を訪ねた関係者は言うが、関係者が松浦の自宅を訪ねると留守で、妻の和子が松浦に電話をしたが応答がないため、関係者はその日は帰路についたが、その後まもなくして松浦から電話が入った。ところが松浦が「債務の返済は終わっている」と言う。関係者が「それを証明する書類はあるか」と聞くと「それはありません」と言うので、会社役員が改めて松浦と会い、いつどういう形で返済が終了したのかを尋ねると、松浦は返済が終わっているとその場しのぎで言ったことを認めた。
会社役員は、松浦が平気でその場しのぎの嘘を言うことを叱責し、改めて松浦に対し夫婦で来社し返済の計画を具体的に知らせるようにと言ったが、実際に松浦が妻と共に会社役員の会社に来て語った返済計画もまた、松浦の口から出まかせの嘘だったのである。
「松浦は、今プルトニウムの開発研究で経済産業省から援助金が下りる特許案件を進めており、1月中旬に10億円が下りることになっているので、そこから返済に回しますと言ったが、これまでの経緯から信用できず、一緒にやっている人からも話を聞きたいということで、3日後に改めて中村という人が一緒に来たが、やはり、松浦の話は全く逆の話で、中村氏によると、その10億円は事業資金として松浦が用意することになっている資金で、それが用意できなければ研究も事業も宙に浮いてしまうということだった。全く正反対のことを松浦が平然と言うので、会社役員も松浦を怒鳴ったが、松浦は『すみません』と謝るばかりだった」
会社役員は松浦に対する債権がすでに5億円以上に膨らんでいる事実を伝え、「貴方が、無責任にも返済をしないで20年以上も放置しているから、こういう金額になってしまった。私は、きちっと返済するのであれば、そもそもの元金の3450万円にいくばくかの金利分で良いと貴方に言っていたはずだが、それでも貴方は嘘ばかり言って誤魔化そうとする」と言って、松浦に対する債権を複数に分割して譲渡することにすると自身の決断を口にした。

債権が譲渡されれば、松浦と連帯保証をしている妻の和子だけではない、松浦の先妻との間に生まれた娘や和子の先夫との間に生まれた2人の娘(七田麻美子、同麻由子)ほか松浦夫婦のそれぞれの兄弟や親族にも容赦のない取り立てが起きるに違いない。同席していた会社役員の関係者が、そのことを伝え、もっと真剣に返済することを考えなければ、大変なことになると言った。
そして、七田麻美子も、松浦と妻和子の無責任さがどういう事態を招いているかを実感していないようで、関係者に対しては自身が責任を負うべき意味合いのものではないという趣旨の話をしているというが、母親が連帯保証をしているので、責任を免れることは不可能だ。「それに松浦も和子もこれまでの長い期間、会社役員にどれほど迷惑をかけてきたか、松浦がどれだけ会社役員を騙し続けて来たか、その実態を正確に把握すれば、問題を解決するために何をするべきかが分かるはずだ」と関係者は言う。七田麻美子は大学で教鞭を取っているようだが、そのような立場で松浦夫婦の債務問題を放って置いたら自身の日常に影響を及ぼすとみられる。

会社役員も関係者もしばらく様子を見ることにしたというが、松浦が本当に会社役員への返済を具体化させなければ、関係者が言った通りの大変な事態が生ずることを認識するべきである。
家族や親族が今後、どのように悪い影響を受けるか、松浦と妻和子は真剣に返済に取り組み、真摯に会社役員に対応することが何よりも優先していることを認識すべきではないか。そして、松浦と和子の家族や親族もまた、松浦と和子から本当の話を聞いて、今後どう取り組むべきかを真剣に考えるべきだ。(つづく)