超高級外車10台以上の代金を横領した千葉宰揮と明子のあくどさ

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債権者からカウンタック40台前後の購入を請け負い、その代金を数台分ずつまとめて預かりながら、実際には購入せずに何台分も横領したのが千葉宰揮である。債権者が千葉を知ったのは35年以上も前のことであった。スーパースポーツカーを特集する雑誌に掲載されていた広告を見て会うようになったが、人当たりも良く、会話での受け応えもしっかりしていたので債権者は好感を持った。それがきっかけとなり、千葉は債権者の会社に出入りするようになった。
しかし、千葉の如才のない対応は相手を詐欺に巻き込む手口だった。債権者が車好きであることに付け込んで購入を勧め、注文を受けた車を納車するとすぐに新たな車の購入注文を受けるという流れを作って、千葉が債権者から受けた車の購入はわずか数年のうちにトータルで40台前後にも上った。
ところが、その間にいつまで待っても納車されない車が何台もあったのだ。当初は、債権者が購入しようとした車が市場にはあまり出回っていないこともあって、多少は手間取ると考えていたが、あまり時間をかけても手に入らないようであれば次のチャンスを待つしかないとして、千葉に渡した購入代金の返還を求めた。しかし、千葉は「分かりました」と言いながら預けた代金の返還をしない。そのため、債権者が強く返還を求めるようになると、ようやく千葉は購入代金を着服したことを白状した。

平成4年から同5年にかけて、当時は千葉を知ってから10年以上が経っていたが、それまでに千葉が横領した金額は8億円以上にも上っていた。車の台数にすると10台分以上にもなっていた。
車関係の仕事をしていて債権者の所に出入りしていた業界関係者は何人もいたが、これほど多くの車の代金を横領したのは千葉くらいであり、事態が発覚して債権者が改めて千葉の業界での評判を出入りしていた関係者に尋ねてみると、典型的な詐欺師だという声ばかりが聞こえてきた。
千葉は債権者が購入をしようとする車の発注書や発注先からの書面等を偽造して債権者に渡していたために、債権者はすぐには千葉の嘘を見抜くことが出来なかったようで、またそれとは別に千葉から頼まれて運転資金を貸すこともしていたために、その金も騙し取られた格好となった。千葉は債権者から貸金の返済を求められ、そのたびに「必ずお返しします」と約束して借用書や確約書等の書面を作成しており、債権者は千葉の対応を待ったが、実際にはそれが間違いだった。千葉は一向に返済期日の約束を守らず、会うたびに嘘を重ねていた。債権者に状況を報告するとして定期的に連絡を入れると言った約束も守ろうとしなかった。
平成7年2月には、千葉が債権者に約束した債務の返済がほとんどなされなかったために、債務弁済の公正証書を作成したが、その時点での千葉が負うべき債務額は約8億9000万円にも上っていた。公正証書の作成に当たって、千葉伸子という女性が連帯保証をしたが、この女性は千葉とは内縁関係にあり、千葉姓を名乗っていたのは戸籍上で養女になっていたからだった。
それに前後して詐欺や横領による刑事告訴を口にした債権者に千葉は「刑事告訴だけは何とか勘弁して下さい」と何度も頼み込み、それから約3か月後の5月10日付で「刑事告訴取下げ願い」という書面を作成して債権者に差し入れ、「私儀、私文書偽造等による詐欺横領告訴の件の取下げをお願い申し上げます」と自筆で書いているが、この時に同行してきた女性は千葉伸子とは別の女性で、金明子と名乗った。
債権者の関係者が千葉の身元を調査してみると、千葉には本妻に当たる女性と2人の子供が北海道にいることが分かった。千葉は北海道の出身で、地元に妙子という妻がおり、仁美と広樹という子供が2人いるにもかかわらず、東京で単身赴任のような生活をする中で、懇意になった女性を養女にする形を取って変則的な内縁関係を続けていたのだ。伸子は千葉に騙された可能性が高いが、一方の金明子は千葉とは同類のようで、「千葉には自分が責任を持って社長への連絡をさせます。今後は連絡がつかないことは絶対にありません」とまで断言して、千葉の対応に責任を持つと債権者に約束し、また所有していた車を担保にして新たに173万円を借り受けながら、その後、千葉とともに行方をくらませてしまった。金明子は飲食店のバニーガールをしていた当時も、その飲食店の客から20万円を借りながら返済しておらず、寸借詐欺同然のことをやっていた。見方によっては千葉以上に悪質な人間と言えるだろう。
千葉は債権者への返済に窮して「金明子の父親はヤクザ」と言って債権者を脅かそうとしたことがあったという。債権者が「私を脅す積りか」と尋ねると、千葉は慌てて「いや、そういう意味じゃありません」と言って怯んだようだが、こうした対応を見ても千葉は人間姓が悪すぎた。
ちなみに、千葉の連帯保証をした伸子は、その後、伸子の父親が債務の一部を支払うことで債権者と和解し内縁関係も解消しており、また千葉の札幌時代の先輩が一時千葉の債務の一部を保証した時期があったことから、これも同じく一部を清算する形で和解していた。しかし、当の千葉自身は、周囲の人間を巻き込んでおいて、自分だけが逃げ回るような人間だ。千葉が同様の詐欺行為を債権者以外にも繰り返していて、業界での評判が最悪だったことが窺える。

その後、関係者が千葉の住民登録で調べてみると、千葉が最後に届けていた都内の区役所の記録が職権により削除されていたことから、以降、千葉と金明子は所在を不明にしたまま20年以上も逃亡生活を続けていることになるが、こうした経緯を見ても千葉は無責任極まりなく、前述の区役所が千葉の住民登録を職権で削除したのも、千葉が刑事事件を起こした可能性が高いことを窺わせている。
債権者が千葉宰揮と連絡が取れなくなってから、すでに15年以上が経過している中で、この間、債権者や関係者が千葉の消息を何回も調べたが、住所は以前のままで移動していない。恐らくは愛人の金明子が公的な手続きをする中で、世間の眼を憚りながら生きているのかも知れないが、いつまでもそんな生活が続けられる訳はない。千葉は恐らく今でも詐欺横領行為を繰り返している可能性が高いが、悪事が公表されることでそれもできなくなるのは必至だ。
千葉が債権者に刑事告訴取り下げを懇願する書面を差し入れたのは20年以上も前のことだったが、債権者が温情で告訴まではしなかったことで刑事被告人にならずに済んだことを、千葉は恩義にも感じていなかった。その場をしのぐためだけにウソの約束をして書面を作成するような人間は、必ずどこかで事件を起こす。千葉も例外ではないと思われるが、債権者の関係者達は千葉を絶対に許せないとして「どこに隠れていても、必ず見つけ出す」と言い、千葉の行方を調べ続けている。債権者の関係者が言う。
「いざとなれば債権者は千葉に対する債権を何人もの専門業者に分割譲渡することになるだろう。何より千葉が無責任に逃げ回っている間に、千葉が負うべき債務総額は莫大な金額になっているが、債権者は謝罪すればできる範囲で穏便に解決することが出来ると答えてきた。しかし、このままいつまでも逃げているなら、その時には千葉の悪事が原因で千葉の奥さんや子供たち、それに金明子の関係も世間の非難にさらされてしまいかねない。家族や身内がこれまでのことを全く知らなかったと言っても通らないし、今になって家族や身内の多くが周囲の目を気にして肩身の狭い思いをすることになるというのに、それでも千葉はまだ自分のことしか考えず、放ったらかしにする積りなら、千葉をトコトン追い詰めることになる」
千葉と金明子が謝罪をすれば、債権者にも少しは許す気持ちもあろうが、千葉も金明子も根っからの悪党というほかない。このままで済まされることではないことを千葉も金明子も十分に承知していると思われるが、「このような人間は絶対に許す訳にはいかない。必ず居場所を突き止めて自身のしでかした責任を取らせる」と債権者の関係者は言う。(つづく)

2023.07.02
     

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