導入資金詐欺の常習 闇に潜む松尾憲之と早川充美(1)

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松尾憲之と早川充美は導入資金(預金)詐欺の常習者である。導入資金(預金)詐欺というのは、「M資金」がその代表格として知られているように1000億円単位の資金融資をエサにして、資金調達を目論む企業から活動資金や着手金名目に金を騙し取る詐欺の一つとして、かなり以前からニュースにもなってきた。
松尾と早川は10年以上も前から「基幹産業育成資金」なる、日本政府が準備した資金を破格の条件で融資するというありもしない話を企業に持ちかけてきた。(①)松尾と早川が面識を持ったのは約10年ほど前で、松尾が負っている巨額の債務を巡って、松尾はオーナーに40年以上も前から世話になり、何度も命を救われる場面を経験したにもかかわらず、松尾と早川が揃ってオーナーを騙しにかけ、揚げ句には2人とも一切の連絡を絶って、行方をくらませてしまうという事件が3年ほど前から起きている。

松尾と早川の嘘が発覚する発端となったのは、松尾が早川の存在をオーナーに告げるに当たって、早川が、国際機関の経済協力開発機構(OECD)に所属する国際公務員の肩書きを有していると語り、誰もが早川から『日本でのNO.2』と聞いているとしたことにあった。ところが、オーナーの関係者がOECDの東京事務所を訪ねると、早川という人間が職員の中に存在していない事実が判明したのである。
そして、その事実が判明する前後、松尾が突然のようにオーナーとの連絡を絶って所在を不明にした。そのため、松尾の長男が警察に捜索願を出す中で、オーナーも初めて早川に会う機会があったのだが、その時、早川が、松尾がオーナーに負っている債務について「一部の200億円については私が全責任を持ってお支払いします」と言い出した。しかも早川は、オーナーが確認するたびにその言葉を何回も追認したのである。
それだけではない、早川は松尾が失踪している事情について、「私が紹介した土田氏と午後5時の待ち合わせで(松尾さんが)赤坂にいるときに3人の男たちに突然囲まれて、『あなたのやっていることは全部把握しているので、すぐに中止しなさい。さもないと、あなたの身の安全は保証できない』と言って立ち去った。それを聞いて松尾さんは恐ろしくなり逃げ出した。男たちから携帯も使うなと言われたので電話もできなかった、ということで私の所へ助けを求めてきたので組織で匿うことになったが、3月の末までは会わせることはできない」とまで説明したために、これが警察を巻き込むとんでもない騒動に発展した。

結論から言えば、早川の説明は全て早川の作り話であった。
警察が松尾の長男から出された捜索願で松尾の寄宿先を訪ねたところ、松尾が残していた所持品の中から額面100億円単位の小切手や約定書を何枚も発見したために、本部捜査員が延べ300人体制で捜索するという意外な展開が起きた。そして、その約定書に書かれていた内容こそ、早川が想像で作り上げた「基幹産業育成資金」に基づいた資金導入と成功報酬の取り分を決めるものだった。(①)松尾も早川に踊らされ、巨額の資金が間違いなく指定の銀行口座に振り込まれると思い込みながら、いつまでも実行されないためにオーナーを始め周囲の関係者への言い訳が出来なくなり失踪したものとみられ、資金導入で重要な役割を担っていたはずの早川もまた、松尾の失踪を脚色するほかなかったのが真相だった。捜査員を大量に動員した警視庁本部は、松尾や早川から長時間にわたって事情を聴いたが、早川に対しては特に強い不信感を持った。

早川の虚言癖は本当に底が知れない。オーナーが早川を食事に誘って行った店で、早川が店の女性従業員に口にしたのは「去年の年収は税引きで40億円あったが、今年は80億円』とか「愛人3人にマンションを買ってあげていて、何かの時のために現金5000万円をアタッシュケースに入れて、それぞれに渡してある」などという話だった。それだけを聞けば、早川の言っていることの真偽は分からないにしても、早川が目の前にいる女性を誰彼かまわず同様の文句で口説きまくっていたことにより、それがただのハッタリでしかないことが容易に分かっただけでなく、余りにも見苦しく聞き苦しいことだった。また別の場面では「田端駅周辺で銃撃戦に巻き込まれた」と早川はまじめ顔で話していたが、それを聞いた松尾の長男もオーナーも呆れ果てた。もしそれが事実ならば、速報的にニュースが流れるが、そんな事実は一つもなかった。
「実際にありもしないし、すぐにバレてしまうような嘘を平気で言う早川の神経は尋常ではないし、おかし過ぎる」と関係者が言うように、オーナーや関係者の間では早川に対する不信感が募る一方となり、そして、警察もまた姿を現した松尾と早川から事情を聴いた際にも、警視庁本部の捜査員の中で早川の話を信じる者は一人もいなかったのである。

松尾が持ち歩いた導入資金(預金)詐欺には(②)、例えば、「ベトナムの隠れ資金43兆円の運用」があり、松尾の話に登場する巨額資金操作での政府関係者、政府系銀行、市中銀行はいずれも実体があるもので、送金手続きや資金運用等についても「IBOE」(国際為替手形)とか「PPOP」(資金運用計画)などの専門的な金融用語を松尾は駆使して、聞いている相手を煙に巻くのが常套手段だった。そして松尾が受け取るという手数料もまた4300億円という途方もない金額であり、松尾は資金調達に苦しむ企業経営者を話に引き込ませようとした。松尾の狙いは活動資金や、資金を導入させるための着手金である。
早川もまた、平成21年に発覚したパシフィックコンサルタンツ(PCI)をめぐるODA(政府開発援助)絡みの詐欺、脱税、汚職等の事件で捜査当局の目を逃れるために数年間、身を隠していたという。
早川は自分自身が持ち歩く巨額資金について「巨額資金はブーメランと同じだ。結果が出るまでに本当の話になれば良いのだからな。だから、俺のことを嘘つきと言う奴がいても、俺は平気だ。途中経過のことだから」と周囲の関係者に語っていたというが、そもそも存在していない資金が、どうして本当の話になるのか。

松尾と早川が常習とする導入資金(預金)詐欺の延長で、早川がオーナー
に松尾の債務返済のうち200億円は100%責任を持つと何回も断言していた。(③)当然、証人もいる。これは最初から全くの絵空事でしかなかった。しかし、オーナーに対して何度も責任を持つと言った早川の責任は、どのような形にしろ、果たさずに逃げ回ることは許されることではなかった。
松尾と早川は、今も行方が分かっていないが、今の状況がこの先も続くとは思えない。松尾には長男のほかに前妻の連れ子である弘美という娘がいるが、前妻が亡くなった後には松尾との関係が疎遠になっていたことが窺えるが、松尾は時々連絡を取ったり、大事なものは預かってもらっていて、時には居候もしていたようだ。松尾の長期間の失踪について、オーナーの関係者が会うたびに松尾の安否を案ずる様子が薄れ、ある時から関係者が連絡をしても電話に出ず、また自宅を訪ねても居留守を使うなどの対応になった。松尾が失踪という余りに無責任な態度を取り続け、安否が気遣われたとしても、自分たちには一切関係ないとでも考えているかもしれない。しかし、松尾が負っている巨額の債務については、関係ないという態度は取れないことは、関係者から話を聞いている弘美も分かっているはずだった。
また早川にしても、離婚した前妻との間に真理奈と亜理紗という2人の娘がいるが、前妻を含め一人も早川を擁護しようとはしていない。関係者が連絡を取ると、真理奈と夫が応対するものの、関係者との直接の面談はせずにメールでやり取りをするような、父親同様にいい加減な振る舞いに終始している。その一方で、父親とは関係ないと言いながら、連絡を取っているのは間違いないようだ。ギリギリで父親を擁護するような言葉がメールでのやり取りの中に散見されるようだ。しかし、親子であることを踏まえても、早川が周囲の人間に対してどれほど無責任であり、どれほど迷惑をかけているか、真実の父親が見えていないのか、それとも父親の性格を受け継いでいるのか、借金を返す約束をしても書類が無ければ、証人はいても関係ないくらいのことをいう娘のようだ。

早川は自身が関わった会社で6000万円を横領し、それがいつ事件化するか分からず、まさに爆弾を身にまとっているような状況にある。導入資金(預金)詐欺にしても、松尾と早川が構築した舞台の実態が明らかになっている今、周囲の目を気にかけながら隠れ潜むような日常を繰り返している中で、壮大な架空話を持ちかける相手も、その話に乗る相手も、ネット情報やYouTubeで取り上げられ、今後は詐欺もやりにくくなっているはずだ。
常に誰からか逃げ回るような生き方をしている人間の末路は決まっていることを、松尾も早川も承知していながら、それしか生きる道を知らないのではないか。松尾と早川に関する情報がオーナーの関係者の所に入り出したようだが、松尾と早川の家族の写真を掲載するべきだという関係者は多い。早川の前妻と2人の娘、松尾の関係者にも今後は大きく影響するはずだ。(つづく)

2023.06.29
     

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