会社の本社が新宿センタービルにあった時代には一度も無かった会社内での不正経理問題は、本社が移転した後から部長と石川により長期間にわたって行われた。日々の出納を含む経理帳簿の作成は石川が単独で処理していたため、部長が使い込みをしても、発覚がしないよう石川が誤魔化して報告もしていなかったとしか考えようがない。
会社の文房具等の窃盗が日常的であったり、N氏やS氏が社長から借り入れた債務の担保にしていた保険の掛け金を部長が横領して失効させてしまったことから、N氏については10億5000万円の保険が、またS氏については10億円の保険が失効するという大きな実害が会社に生じた。そして、その後も部長の横領による使途不明金が増加する中で、経理帳簿の作成管理を行っていた石川がその事実を知りながら、自ら社長に報告もせず、帳簿上での誤魔化しを続けていたと会計事務所も判断していた。会社の小口現金で買い物をしたものについても台帳に記載せず、会計事務所に報告していないものや計算が合わないことも起きていたようであった。
その事実を見かねた会計事務所の大先生が「これは、部長一人だけの問題ではなく、奥さん(石川)も横領の共犯です。部長と石川さんのそれぞれの身内を呼んでください。私から実態を説明しますから」とまで言われ、社長がその旨を部長に告げると、部長は横領の事実を認めつつ「自分の責任で対処します」と返答したことから、問題を不問に付すことではないが、時間をあげることにして、社長もひとまず部長と石川の対応を静観することにした。部長による不正を石川が「知らなかった」とか部長の責任に転嫁するような態度を繰り返しても、社長は見守るだけだったが、ダイヤの紛失盗難が起きたことで、改めて部長による不祥事や、以前からくすぶり続けていた株式購入代金2000万円ほか部長への立替金等の問題が浮上した。石川自身が、部長が7000万円の借用書を作成した際に連帯保証をした事実があり、また部長が平成30年6月にセイザンの清算金1200万円ほかで約2300
万円の横領を告白する謝罪文を作成していたことが明らかになったからだ。この謝罪文には部長が社内での経理の誤魔化しが15年以上も前からあったと書かれていたほどで、こうした問題は数え上げればキリがないほどたくさんある。
石川は事務業務関係の引継ぎを終えた7月24日から同25日にかけて宮城県気仙沼市に帰郷し「責任処理の問題があるので、兄の雅治に会って話をしてきます」ということだったが、実際に石川が兄に会い、清算処理についてどのような話をしたのか、本当に帰郷したのかどうかも全く分からないまま、7月28日午前10時前後に来社した石川から社長が聞いたのは「兄からは、そんな大金払えないと言われた」の一言だけだったという。しかし、これほど無責任な石川の言い草は有り得ない。少なくとも石川が兄にどういう相談をしたのかについて、説明があって然るべきことだった。結果的に石川から紛失ダイヤの責任に伴う清算についても具体的な話がないまま面談は終わったが、当然、このままで済まされることではなかった。石川はその前にあった協議の中で社長に「自分が加入している生命保険が900万円ほどあるので、それを受け取ってください」と言ったが、社長は「できない」と言った。すると石川は「私はガンで長生きしません」と話を継いだが、社長が再び「それはできない」と言って断ると、石川もそれ以上の話をしなかったが、ダイヤの紛失盗難に関わる管理責任で責任を取るという話をした。ダイヤを保管していた金庫の鍵を石川が一人で管理していた責任を認めていたにもかかわらず、それから時間はそんなに経過していないのに、一切口にしなくなったのはどういう訳か。石川が実兄に会って相談をするとか故郷に転居して実兄に世話になると言った際に、石川の無責任さや利己的な性格を複数の社員から聞いた社長は懸念して、思わず「お兄さんに迷惑をかけることになるのではないか」とまで聞いたが、石川が「いえ、兄の会社には事務員がいるので働くわけではありません。仕事を探しますので」と答えたので、社長は納得しつつ石川が故郷に帰り実兄に相談するという話を受けて、「それならば、君がお兄さんと相談した後のことを、私もお兄さんに直接会って話を伺いたいので、ご足労だが東京に来てもらうよう手配をしてもらえないだろうか。本当は私が会いに行くべきだろうが、何分にも足を骨折しているので長距離の移動が出来そうもない。もちろん費用は出すから」と言うと、石川は「社長がわざわざ行かれることではありません」とは答えたが、具体的にどうするという話には一切踏み込なかった。内心では「兄に会わせるわけにはいかない」と考えたのではなかったか。会社でしでかした不祥事の実態を実兄にも話していなかった可能性は高く、実兄に会わせれば、それが全て分かってしまう。そう考えると、石川が兄に相談すると言った話もその場しのぎに過ぎないことが想像される。石川は社長との話の中で「私は逃げることはしません」と繰り返し言っていたが、その後の対応は嘘を並べ立てて逃げたも同然で、石川の対応が一切ないために社長が提訴に踏み切ったところ、石川は住所地にもおらず、また身を寄せると言っていた石川の兄も「妹の所在を知らない」と言い、「妹のことには関われない」とまで弁護士に電話で答えたという。石川本人はもちろん兄の所にも何回も連絡をしているのに、石川自身が一切連絡をせず所在を明らかにしないことで、石川は「私は逃げません」と豪語していたが、逃げ隠れしているとしか考えようがない。しかも、兄の雅治氏が妹の所在を知らないということは、「兄に相談する」とか「兄の所に世話になる」と言っていた石川の話が全て嘘であったことに他ならない。実は石川が所在を不明にしているのは部長と一緒になって横領した金を隠すことに必死になっていると言う関係者は多いのだ。石川の兄も妹を庇って言っているのかどうかは不明だが、妹の居所が分からないし、関われないという弁護士への言い方も不可解だ。妹が訴訟の当事者になっているという事態を何とも思わないのだろうか。兄妹間に普通にある関係や感覚では推し量れない違和感を持たせる対応だった。なお、石川に対する訴訟では、会計事務所からのアドバイスも参考にしつつ、ダイヤの紛失盗難に関わる930万円(原価)と贈答品の損壊と紛失に関わる約1800万円に加え、Mの窃盗80万円と台帳上の不明金約163万円の合計約243万円、給料計算の過払い分約160万円の総額約3100万円を請求している。
会社の社員だけでなく、会社に出入りしている業者や社長の友人知人の多くが石川美智代の人間性の悪さや、あまりにも無責任な対応に怒りを覚え石川を非難する中で、夫である部長の横領事件は元はと言えば石川が部長を唆し、あるいは強制した結果で起きたのではないか、とさえ疑念を持つ者が多い。部長は、新宿センタービル時代には営業職の幹部として成績を残し、毎月の収入が300万円を超えていたという。しかし、その後、事務業務の仕事に変わったために、収入が大幅にダウンした。石川はそれを咎めて部長を攻め立てていたのではないか、石川ならばやりかねないというのが、石川への非難の背景にある。部長は月に一度しか休みを取らず、日曜日も出勤していた。また平日も毎日の退社時刻が午後10時前後になっていたことから、社長が「午後8時には帰りなさい」と言ったことが何回となくあった。その辺りの事情について、部長は「自宅に着くのが早いと石川が起きているので、本人が寝ている時刻を見計らって帰宅している」という話を後日周囲にしたようだが、その話を踏まえれば、部長による横領事件が石川による教唆と考えてもおかしくはない。ダイヤの紛失盗難に伴う協議の中で、社長がその話を石川に向けると、石川は部長とは円満であったと言い、また帰宅時刻が遅い点も「社長にこき使われている、と言っていた」とまで言ったという。しかし部長が周囲に吐露した心情に嘘があるとは思えず、収入が下がったことで石川から離婚話を持ち出されたことが2、3回はあったと部長が社長に言った話もあるようなので、石川の反発は真実を隠すための必死な抵抗に映るのだ。裁判になってからは特に逃げ回るような事ばかり繰り返しているが、石川が長期間にわたって会社に大変な迷惑をかけたことを重く見れば、早く解決するべきではないのか。そうでなければ、ダイヤ紛失事件ほかいくつもの事案で証拠が揃っているので刑事告訴に踏み切らざるを得ない状況にあることをよくよく考えるべきだ。(つづく)