小野の投資案件には沖縄の浦添市内の土地転売や高速道路のトンネル工事に伴う大量の残土処理など多くあったが、いずれも債権者への返済を先延ばしにするための時間稼ぎでしかないことは明らかだった。それでも、小野は決して計画がとん挫したとは言わず、まだ継続中であるとか間違いなく実現する等と言って悪質な引き延ばしを図っていた。
債権者は小野の話が本当であるかどうか気がかりだったが、小野の表情がいつもと変わらないため、あえて詮索をしなかった。しかし、それが小野の債権者へ付け込む常套手段だった。小野が債権者に話した返済計画は五指に余るほどだったが、その一つ一つで時間稼ぎを繰り返したために、1年、2年があっという間に過ぎた。そして令和2年7月4日に小野は債権者に2通の借用書を書いた。1通は30年間も引き延ばし続けた8000万円、もう1通は新たな借入を繰り返した分だったが、8000万円の借入金のほかを合算すると長年の金利分を含め優に10億円を超え、新たな借入分も令和2年7月1日で2億円にまでなっていた。それを返済するため、小野は妻の実家で父親の死亡に伴う財産分与があり、妻が受け取る予定の約1億円を返済金に充てるという話をした。その協議のために小野は妻と共に妻の実家に4回ほど出向いていると説明したが、2か月過ぎても分与金を受け取る日時が何回も変更になり確定しない。すると、今度は株券等の新たな財産が見つかり、分与金の額が大幅に増えただけでなく、小野も加えて相続財産を分け与えるという話になったという。小野が受け取る分与金は1億円強で、もともと予定していた妻の分与金も併せて返済できると、その時、小野は笑顔を浮かべて債権者に説明した。債権者は相続税の代物弁済で秋田の豪邸を無償で提供するとして小野に顧問弁護士まで紹介し、2~3回面談したにもかかわらず、この話も結論から言えば、100%小野が勝手にでっち上げた作り話だった。妻だけでなく妻の実家まで巻き込んだ嘘をついた小野の恥知らずには限界がない。ここまでの忘恥者には今まで会ったことが無い。返済を放ったらかしにするという自分の不誠実な対応が生んだ借金で妻に何回も連帯保証までさせておいて、ありもしない財産分与などよく思いつくものだ。
小野が分与金を受け取るために債権者に銀行まで同行してもらうとした令和2年11月30日、小野は約束の時間になっても債権者の前に現れなかった。約束した時刻は午後1時だったが、夕刻になっても小野は来ず、その間に電話をしても、小野は一切応じなかった。債権者の知人(小野も20年ほど前から知っていた)が帰る途中だから、立ち寄ってみると言い、小野の自宅を訪ねたところ、室内の明かりは点いているのに応答がない。そのため、知人も諦めて帰路に着いた。
小野の豹変ぶりはあまりにも異常だった。多い日には一日に2回も3回も債権者の会社や自宅を訪ねたり、共に飲食を重ねるなどした日常を過ごしてきたはずの小野が、突然、債権者との関わりを一切断ち切ろうとしたのだから、誰もが小野の豹変に驚きはしたが、それが、小野が隠し続けてきた本性だったのである。
債権者は、小野の代理人に就いた清瀬弁護士に小野に対する債権の詳細を具体的に説明すると言って、何度も面談の機会を作ろうとしたが、清瀬は態度を曖昧にして交渉の場を作ろうとしなかった。そして、年が明けた令和3年1月中旬、「小野が訴訟で対応することにしたので、面談は控える」と一方的に通告し、翌2月に入って債務不存在の訴訟を起こしたのである。債権者は既に先んじて貸金返還請求の訴状を東京地裁に提出していたが、受け付けた裁判所の手続きに係る事情から小野の訴状の方で審理が先に始まることになったため、審理が併合された。
審理で小野の代理人に就いた清瀬弁護士は、債権者側が提出した借用書や公正証書ほかさまざまな書証類を全て否認して、それらの書類は債権者に脅され、強制されて書いたもので、そもそも債務は存在しないと強調したばかりか、債権者が無免許で金融業を営む人間であり、高金利で債務者を束縛する悪質さから多くの債務者が逃れられないでいる、という誹謗中傷を展開した。さらに、債務の経緯を捏造して、返済している分ですでに過払い金さえ発生している等の虚偽を全面にわたって構築したのである。しかし、審理が進むにつれて、清瀬弁護士による弁論が債権債務の事実関係よりも債権者を誹謗中傷する場面が多くなっていたために、裁判長が主張を裏付ける証拠の提出を求めたり、争いの軸であるはずの債権債務についての主張が疎かになっている点を指摘したが、清瀬弁護士は「証拠はありません」と断言したばかりか、裁判官の注意喚起にも従わず、審理の度に債権者に対する誹謗中傷を繰り返した。見ての通り、弁護士にあるまじき卑劣極まりない対応を繰り返す清瀬弁護士に対し、債権者は清瀬弁護士が所属する東京弁護士会に懲戒請求の手続きを取った。すると、度の過ぎた誹謗中傷は収まり気味になったものの、相変わらず小野の嘘を事実確認もせずに主張し、連帯保証をしている妻の真理について、小野が勝手に真理の実印を持ち出し、印鑑証明と共に持参して公正証書に署名押印したと言い出し、筆跡鑑定を検討中であるとも言う。他に主張すべきことも見つからない小野と清瀬が苦し紛れに言い出したことに違いないが、小野は借用書の作成や債務承認のたびに真理の委任状を複数回持参していただけに、そんな姑息な嘘がまかり通る訳がない。
債権者への債務返済を逃れるために、必死で時間稼ぎをする小野は、自分が周囲からどう見られ、評価を大きく落としているか全く自覚していない。金を得るために人を騙し、嘘をつき通せなくなると姿をくらませてしまうような生き方は最も軽蔑される事ではないかと思われるが、債権者が温情をかけた友人知人の中で、同様に債権者を騙したり裏切って所在を不明にした人間に対して、小野自身が「あれだけ世話になっていながら、やることがひどすぎる。本当に許せないですね」と債権者を前にして非難することが何回もあったが、今、小野がやっていることは小野が非難した人間たちの何倍、何十倍も悪質なのだ。
先の関係者も「私は債権者と小野の付き合いについて特に大事なことはほとんど聞いていたが、小野はまるで別人ではないかと言うくらいに小野の言っていることに真実が一つもない。私にも友人が多くいるが、小野のような人間は初めてだ」
そのように考えると、小野は決して付き合ってはいけない部類の人間であることがよく分かる。
証人尋問で小野は、返済の資金繰りでA氏に話していた残土処理や妻の実家の財産分与などについて「噓をついていた」と言い、そして「申し訳ないと思います」と謝罪する意思を見せていたが、心底そう思っているなら債務不存在などという主張にも言及すべきではないか。それを虚偽だと言って謝罪し訴訟を取り下げることが本当に自信の言動の過ちを悔い改めることになる。
30年もの長い間で債権者にはいろいろな面で世話になっているのに、小野は自分の友人知人を誰も紹介したことが無く、債権者から紹介を受けた知人にも自分の電話番号すら教えない、何かの用事で小野に電話をして用件が済むと、小野は必ず電話の履歴を消して欲しいと強い口調で言う。そういう対応に、周囲の人間は全員が強い不信感を持っていたようだ。
小野が複数の女性に結婚詐欺を働いていることについても、自分はバツ1と嘘をついて女性に近づき、結婚の約束をして女性の両親に挨拶までする破廉恥は、持って生まれたものなのか。妻がいて、息子と娘の家族がいる人間のすることではない。すでに小野の正体が周囲にも実感される中で、小野と付き合いを続けていた知人が小野に対して距離を取っているという話も聞こえてくるが、小野が世間を欺きながら内面に抱えている闇の正体が多くの証拠と共に明らかになったことで、刑事事件化する事案も明確になっている。告訴・告発は時間の問題だ。今後、小野の悪事がさらに世界中に拡散する一方になるのは必至だけに、家族や身内も大変な思いをするのは必至だ。(つづく)